整体と小顔・顔の歪み
- 顔が全体的にむくんで大きく見える
- 目の大きさや口元の高さが違う
- エラが張って見える
- 肌に艶がなく、くすんで見える
- ほうれい線が目立つ
整体で本当に小顔になるのか?
最近、整体やカイロプラクティックで美容メニューとして、あるいは美容専門院として小顔矯正が流行っています。なぜ流行っているかといえばはやりそれだけ女性の美容の需要が高いということでしょう。
経営としてそのようなメジャー市場を狙いたいと思うのは当然だと思います。しかし、誇大広告が行き過ぎな感じがしてなりません。
理解して頂きたいことは、小顔矯正として使われている技術はオステオパシーやSOTの頭蓋骨テクニックなのですが、これらは本来小顔にするためのテクニックではありません。
一般的に頭蓋骨というと一つのボールのような骨だと思われていますが、実際には23個の骨がパズルのように組み合わさってできています。
頭蓋骨にはある程度の可動性があるのですが、頭蓋骨の関節は肩や膝のように動く関節ではなく、縫合といって縫い合わせたようにしっかり咬み合っているのでほとんど動きません。
動きませんが全く動かないのであれば最初から一つの骨でいいわけであり、23個の骨をわざわざ縫合する必要はないのです。
ではなぜ、一見意味のないような構造をしているかというと、頭の23個の骨は脳脊髄液の産生と循環のためのポンプ運動をするためであり、呼吸にも連動して動くようにできています。
この脳脊髄液は神経に栄養を与えたり、神経の老廃物を流したり、あるいは神経を保護したりする重要な役目があり、人間の機能に最も重要な体液で、血液がガソリンだとしたら脳脊髄液はエンジンオイルのようなものではないでしょうか。
脳脊髄液は頭蓋骨のわずかな動きが損なわれるとうまく循環されません。その動きを回復させ脳脊髄液の流れと産生を正常にするために頭蓋骨テクニックがあります。
そしてこの頭蓋骨テクニックはあくまでもオステオパシーやSOTの治療の一部に過ぎず、それだけをやっても本来の効果は出ません。なぜなら脳脊髄液は頭蓋骨のポンプ運動だけではなく、骨盤や背骨も連動しているので、体全体を一つのユニットとして調整しなければならないからです。
そのような理由から、小顔矯正と称して頭蓋骨矯正だけを行なっているのは、頭蓋骨矯正の意味を理解していないということになります。また、頭蓋骨の縫合は何ミリも動くものではないので、矯正したからといって頭蓋骨の実寸が小さくなることはあり得ないのです。
1時間以上頭だけをいじって2万も3万も払って効果がないばかりか、場合によっては体調を崩すこともあります。小顔になりたいという気持ちは十分理解できますが、「小顔矯正」はその美容欲求を食い物しているようにしかどうしても思えないのです。
小顔矯正のトリック
でも実際に小さくなった、ビフォー・アフターの写真で変わってるじゃないかという反論もあります。
小顔に見えるようになることに反論はありません。
しかし、小顔になったのと小顔に見えるのとは違います。
ではなぜ小顔に見えるのでしょうか?
それは、小顔矯正は骨を動かして骨格を小さくしているのではなく、顔の筋肉の緊張を緩めたり、血液やリンパの流れを良くしてむくみをとっているからです。
つまり、頭蓋骨自体が小さくなったわけではなく、顔の皮膚や筋肉を整えてスッキリしたように見えるだけなのです。
それでも小さく見えるならそれはそれでいいと思いますし、ご本人も満足しておられるなら問題ありません。しかし、頭蓋骨を小さくしますと謳って施術するのはいかがなものでしょうか?
それに顔の筋肉を緩めたり、リンパの流れを良くするだけなら、わざわざ2万も3万も払ってやってもらわなくても、自分でお風呂上がりにエクササイズやマッサージすれば同じです。
小顔矯正した直後は小さく見えても、時間が経てばまた戻ってしまうのは、骨が小さくなったわけではないということを理解すれば簡単に想像できるでしょう。
また、小顔矯正に関してはビフォー・アフターの写真はほとんど信憑性がありません。 なぜなら、ビフォーの写真を撮った時と、アフターの写真を撮ったときの条件が全く一緒でなければならないのですが、ほとんどがその前提条件が満たされていないのです。
一番よくあるのが、遠近法です。写真ではほんの数センチ顔の位置が前後にズレただけで顔の大きさが全く違って見えます。座っている場所とカメラの位置は同じでも、首を前に少し傾けただけで顔は大きく見えます。
アゴを少し引いて撮っただけでも写真だと顔のイメージは全く変わります。ビフォーの段階でアゴを引いて撮ると、正面の投影面積が増えるので顔が少し大きく見えます。目や鼻の見え方も当然変わります。
顔の表情の違いも全く印象を変えてしまいます。同じ表情で撮らなければ正確な比較にはなりません。服装や髪型も見え方や印象を変えてしまうので全く同じでなければいけません。光やフラッシュのあたり具合でも全く違って見えるでしょう。
少なくともこれらの条件が、ビフォー・アフターで一致している写真はほとんど見たことがありません。意図的に変えようとしなくてもそうなってしまっているのかもしれませんが、写真というのは瞬間の芸術です。わずかな変化であればいくらでも見せることができます。
ビフォー・アフターの写真を並べて、10秒ほど真剣に見比べて「う〜ん、この辺が少しスッキリした感じがする」と思ったところで、その違いは他の人にわかるでしょうか?普通にぱっと見て「少し痩せた?」とか「目が大きくなってない?」とか言われるような変化であれば意味もあると思います。
しかし、自分にしか分からないような変化、しかもよく見なければ分からないような変化に意味があるでしょうか?自己満足で満たされるなら問題ありませんが、そもそもなぜ小顔になりたいかといえば、他の人によく見られたいという欲求を満たすためのはずです。
お金を払ってやってもうことで満足感を得られたり、癒されたいというのであれば、それはそれで良いと思いますが、現実的には自分で日々のケアやエクササイズをして、髪型や服装、化粧などを工夫すれば同じかそれ以上の変化を得られるでしょう。
当院の小顔矯正
以上の理由から当院では「小顔矯正」はやっておりません。
やってはおりませんが、それは頭蓋骨そのものを小さくすることはできないということです。 では何をやるのかといいますと、顔や頭の筋肉を緩めて頭蓋骨全体の柔軟性を回復させます。その結果、顔のバランスが良くなったり、スッキリしたり、肌の弾力性が増したりします。
ただ、必ずしも頭蓋骨を矯正するわけではありません。骨盤の歪みには骨盤を直接矯正しなければ解消されないタイプと、骨盤自体を矯正する必要のないタイプがありますが、頭蓋骨も同様で必ずしも頭蓋骨自体を矯正しなくても良いタイプがあります。
頭全体が硬いような場合は、頭蓋骨の問題ではなく首から下に原因があるので、骨盤の歪みや内臓問題を解消していきます。つまり、頭蓋骨全体の硬さは首から下の原因の代償として現れているので、当院では一見、頭蓋骨の歪みがある場合でも頭蓋骨を矯正しない場合が多いです。
しかし、頭の全体的な硬さをとっていくと、部分的に硬いところが浮き出てきます。これは関節のサビのようなものなので、この時はじめて頭蓋骨を矯正していきます。
ですから、当院ではあくまでも治療の中で必要があれば頭蓋骨を矯正するということで、必要もないのに矯正することはありません。