カイロプラクティックとは

カイロプラクティックという言葉は最近良く聞かれると思いますが、カイロプラクティックといえばせいぜい背骨を矯正するもの、歪みを治すものという程度の認識しかされていないのではないでしょうか?

また、整体とカイロプラクティックはどう違うのか、ほとんどの方が区別つかないと思われます。

カイロプラクティックと整体の違いとは?

起源・創始者

整体は日本の武道(柔術)の中の一部であり、創始者という人は不明で起源も明確ではありません。ちなみに、中国には「整体」はありません。

中国でいう「整体」という言葉の意味は「全体性」という意味であり日本でいう整体と全く違います。中国整体という言葉は最近作られた造語です。

当院のホームページでは整体もカイロプラクティックもあえて総称して「整体」と言っていますが、これはあくまでも一般の人を対象に書いているためであり、本来は別物であるということを明言しておきます。

一方、カイロプラクティックは 1895年、アメリカ人のD.D.パーマーによって創始されました。その後、息子のB.J.パーマーによってカイロプラクティックの哲学は確立され発展してきました。

理論と治療上の違い

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カイロプラクティックでは、病気の原因は主に脊椎のサブラクセイション(微妙な骨格のズレ)にあるとされ、それが神経を圧迫して、各器官の機能を低下させると考えています。

そのような状態は、神経が正常に機能しないため、脳からのイネイト(自然治癒力)が、身体各部に上手く伝達されず病気になるというのです。

カイロプラクティックとは、神経の圧迫を引き起こしている椎骨(背骨)のズレを、手によって正常な位置に戻すことで神経の圧迫を解放し、自然治癒力を十分に働けるようにする治療法です

カイロプラクティックでの矯正はサブラクセイションのある部位、即ち悪い部分のみを行うのですが、一方、整体では悪い部分も正常な部分も調整し、さらに脊椎だけでなく全身の骨格や筋肉を矯正することによって、全身の血液循環を調整します。

骨格の歪みによって病気が起こるという考え方は、整体もカイロも基本的には変わりませんが、カイロプラクティックは神経に焦点を置いているのに対し、整体では血液循環に焦点を置いているので治療の理論は違ってきます。
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カイロプラクティックでは特定の病気や症状を治すという考えはありません。患者さんの自然治癒力を低下させている椎骨のズレを探し出して、ただそれを矯正し、あとは患者さんの自然治癒力が正常に機能するのを待つだけです。

ですから腰が痛いからといって、腰を揉んだりボキッと矯正するわけではないのです。

また、一般的にカイロプラクティックは曲がった背骨や骨盤を矯正して真直ぐにするというイメージがありますが、先程述べたようにいわゆる骨のズレを戻すのが目的ではなく、関節の可動性を回復させ、神経の機能を回復させるために矯正するのです

つまり、ズレていても正常に動く関節は矯正する必要はありません。原因となるところをピンポイントで矯正すれば、後は自動的に他の曲がっているところも結果として真直ぐになってきます。もちろん骨自体が変形しているところは真直ぐにはなりません。

逆に、ズレていても正常に動いている関節を、ボキボキなって気持ちいいからといって定期的に繰り返していたら、靭帯が緩んでそこが原因となって、別の問題がでてきてしまう可能性があります。

同じカイロプラクティックでも治療院によって全然違うのはなぜ?

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カイロプラクティックはパーマー以降多くの開発者によって進化と発展をとげてきました。開発されたテクニックはそれぞれの創始者の名前が付けられ一つの独自の理論とテクニックを展開しています。

それらのテクニックを総称してカイロプラクティックと呼ばれていますが、カイロプラクターにより使うテクニックが選定されるので、同じカイロプラクティックの治療院でも全く違うように見えるのです。

初期には背骨の矯正しか行わなかったカイロプラクティックも、今では様々なテクニックが開発され、脊椎にとどまらず頭蓋骨の矯正や、内臓の治療まで行うようになりました。現在ではおよそ100種類ほどのテクニック(流派)が存在し、それぞれ独自の理論で検査法や矯正法が確立されています。

 主なテクニックとして次のようなものがあります。

  1. ディバーシファイド・テクニック
  2. ターグル・リコイル・テクニック(B.J.Palmer)
  3. ガンステッド・テクニック(Clarance Ganstead)
  4. トムソン・テクニック(Clay Thompson)
  5. ローガン・ベイシック・テクニック(Hugh B.Logan)
  6. アクチベーター・テクニック(W.C.Lee, Arlan.W.Fuhr)
  7. ピアース・スティルワーゲン・テクニック(Vernon Pierce, G.Stillwagon)
  8. アプライド・キネシオロジー(A.K; George J. Goodheart)
  9. 仙骨後頭骨テクニック(SOT; Major Bertland DeJarnette)
  10. 軟部組織整形外科学(STO;Mervin Lloyd Rees)

日本に伝わってきた当初行われていたのは、ほとんどディバーシファイド・テクニックであり、一般の方がカイロプラクティックといったらまずこのディバーシファイドのことを思い浮かべると思います。

今でもディバーシファイドだけで治療しているカイロプラクターもいますが、中にはただ単に首や腰を捻ってボキボキさせているひどい人もいますので注意しましょう。